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†雪降る聖夜 息つく二人†
†雪降る聖夜 息つく二人†
イラストSS
薄暗くなってきたな、と2人とも感じていた。日が傾くには少し早い時間。城はまだ遠い。せかせかと2人は早足で歩いていたものの──雪が次第にちらつき始める。
「……寒くなってきましたね」
ルーフェル=フリーデンがはぁ、と息を零せば白く染まる。このままだと城へ戻るまでに凍え死んでしまいそうだ。ライム・ウェルバーは近くにベンチと練達製自動販売機を見つけると、あそこで休憩を取ろうとルーフェルを促した。
ベンチに肉や海産物の入った袋を置き、その隣に腰掛けるルーフェル。すでに凍えている手足よりもっと中心にあたる部分が、体の動きを止めたことで冷たくなっていくのが感じられた。ライムは一先ず体を温めなければ、とベンチを一旦離れる。
自販機に向かったライムはコーヒーを2本購入し、片方をルーフェルへ手渡した。ルーフェルははにかみ笑いを浮かべ、礼を言いながら受け取る。
コーヒーの温もりが心地よい。感覚がなくなりそうだった指の先にじんわりと温かさがしみた。
2人はそうして手を温め、ぬるくなる前にコーヒーを飲み干して。ひと息つけばまた、動き出せる。
未だちらつく雪の中、2人は白い息を漏らしながら再び帰路へ戻っていったのだった。
※担当GM『愁』