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ミルヴィ=カーソンの影都カズヤによる2人ピンナップクリスマス2018(横)
ミルヴィ=カーソンの影都カズヤによる2人ピンナップクリスマス2018(横)
イラストSS
町を人々が行き交う中、ミルヴィ=カーソンは広場をぐるりと見渡した。
(まだいなさそうだネ)
早く会いたくて来てしまったが、彼も来ているとは限らない。冷たい空気は肌を刺すようで、ミルヴィは手袋をつけていない手をそっと擦り合わせた。
「……あ、雪」
空が零す、純白の小さな花。差し出した掌に着地したそれは、風に吹かれてどこかへ飛んでいく。それを追いかけたミルヴィの視線は大きなツリーに留まった。
電飾が光り、オーナメントボールが煌めく。周りを見れば家族や、恋人と歩く者ばかりで。
(アタシが、早く来ちゃっただけだけど──)
──寂しい、と。早く会いたい、と。
心が彼を求めるままに、その姿を人混みから捜す。待ち合わせた時間は、あと少し。彼もそろそろ来るはずだから。
(……いた!)
不意に見えた人影に心拍が跳ねる。彼──郷田 貴道もミルヴィを捜しているのか、その歩調はやや緩慢だ。
「こっちだヨ!」
声を上げて手を振れば、ほら。視線と視線が混じり合って、すぐにお互いしか見えなくなる。
「すまん、待ったか?」
「大丈夫……あ、でも手は冷えちゃったかナー」
繋ごう、と手を差し出せば彼は見てわかるほどに挙動不審で。けれどそんなところも──愛おしい。
※担当GM『愁』